☆ 最新記事へ





















6/7/2016    







5月のはじめ、名古屋の芸文大ホールで、ディズニーの映画「ファンタジア」とオーケストラとの共演がありました。 この映画は、アメリカではストコフスキーとフィラデルフィア管弦楽団が共同制作したもので、 ポイントは、映画と演奏とのシンクロナイズにあります。 ディズニーの世界最初のカラー映画「白雪姫」に続く2番目のカラー映画で全て手書きアニメ。(オーケストラは実写)
音響は多チャンネルステレオ方式。今では普通だけれど、世界最初の横長のパノラマスクリーン。 映写機を複数置き、全部を電子的にシンクロナイズさせていました。

大げさな表現かも知れませんが、これはひとつの文明だと思います。
それまで無かったものを考え出すと、「発明」などと言いますが、 ファンタジアの場合、当時のアメリカ社会での技術力に対する考え方が、 こういうハイテク映画作品の生まれる根底にあるので、「文明」でしょう。 これに対して当時の日本は、科学技術を重視せず、根拠もなく神国日本などといばっていたのです。

「ファンタジア」には、もうひとつの側面があります。注目すべき点は、この驚異的な映画が、1940年、 すなわち日米開戦の前年に作られたという事実です。当時の日本の映画は全て白黒映画。 場末の映画館にはまだ弁士がいた時代でした。米国籍を持たない日本人の多くは開戦まえに日本に帰国するのですが、 ファンタジアを見た人の中には、「こんな映画を作れる国と戦争するのは間違いだ。 負けてしまうに決まっている」と言いいながら帰国した人があったそうです。
しかし、日本では「戦争に負ける」という言葉はタブーになっていました。 日清、日露と戦争に勝ち、最後には神風が吹いて敵を沈めてしまうから負けないのだ、という全くの精神論が横行し、 「日本は負ける」などと言おうものなら非国民とレッテルを貼られたのです。そして無謀な戦争に突入してしまったのです。 タブーの恐ろしさです。

さて、当日の担当オーケストラは セントラル愛知交響楽団 でしたが、 指揮者はこのイベントを以前から手がけている外国の人でした。
興味津々で指揮者をみていると、指揮台の前に中型液晶テレビくらいのモニターがあって、 その画面の左から右に縦のバーが等時性をもって流れていきます。
オペラグラスで観察すると、休止や楽章間は数字で時間が秒単位で示されています。オケの準備ができようとできまいと、 その時間内に次の音楽が開始されなければならないので、オケにとっては厳しそうでした。

「ファンタジア」をご存知ない人のために、映像を紹介しておきます。
全部見ようとすると2時間近くかかるので、映画冒頭の数分間のオケと 指揮者の登場までのところと、 第二部の19分くらいから3分ほど。 ここは、ベートーベンの「田園」の第4楽章「雷と嵐」の部分です。 酔っ払いのバッカス神に雷神が稲妻を投げます。画面と音とがよく一致して、 まるでベートーベンがこの映画のために作曲したようです。

オーケストラの裏話。この部分は、オーケストラの低音部セクション、チェロ・コントラバス泣かせなのです。 ベートーベンの楽譜どおりには、指使い、弓使いが追いついて行かず、ほとんど演奏不能。 ベートーベンは正確さよりも音響効果としての低音部を考えたのかも知れないという人もあります。 (ゴウゴウという音が鳴っていればいい)。また、ウイーンフィルの低弦はこれを完璧に弾けるのだという伝説もあります。 Unbelievable!

5/27/2016    






5/19/2016    






5/11/2016    














↑このページのトップへ