わたしのマチオモイ帖 2013
『はず帖』
   
佐々木千穂 
   
   
小冊子「はず帖」をご覧になりたい方はこちら「はず帖」(2.58 MB)
 
   
 

 2011年4月、愛知県の「幡豆町」は、隣の西尾市に編入され、地図から名前が消えました。

 役所の機能が縮小され、お昼を知らせるサイレンの音が聞かれなくなり、校門の学校名が書き換えられ、「広報はず」が廃刊になり恐らく住んだことのある者しか気にしない、小さいけど大きな変化が起きました。町の発展には必要な変化だったのかもしれないけれど、やはりどこかで抵抗を感じていました。

 しかしその頃、世の中が変わるような大きな出来事が起きました。故郷の風景が変わらずに存在し続けていることの幸福、その風景を作っている人々の営みの愛おしさを再認識する出来事でした。地名は消えても、海に囲まれた豊かな自然と、のんびりとした人々の営みは、この瞬間も変わらず続いていることの大切さをかみしめました。そしてこれらが今後も受け継がれて行くには何が必要なのかと考えました。

 この「はず帖」では、大好きな故郷幡豆町の人々の暮らしが織り成した「見慣れた」海辺の光景をまとめました。この小さな海辺の町がたたえる、暖かで穏やかな表情は、町の名前が変わっても、失われず今もそこにあります。この先、これらの風景はどう変化していくのでしょう。

 「町」とは。「変わる」とは。そんなことを問いかけるきっかけになればと思います。

 February,2013
 株式会社インフィールドデザイン
 佐々木千穂 

 
                  わたしのマチオモイ帖 2013 「はず帖」より

 
   
 『はず帖』と佐々木千穂さんのこと

小冊子「わたしのマチオモイ帖2013『はず帖』」は、「幡豆(はず)町」出身で都内でデザイン会社を経営されている佐々木千穂さん(旧姓は山本)の作品です。散歩が趣味の佐々木さんは、帰郷のたびに大好きな故郷幡豆町を歩き回り写真を取ってきました。その写真の中から「幡豆町の人々の暮らしが織り成した『見慣れた』海辺の光景」をまとめたものが「はず帖」で、「わたしのマチオモイ帖2013」に出品されました。
 my home town わたしのマチオモイ帖」は、各地のクリエイター達が自分の故郷など、思いのある町を紹介する展覧会で、参加のきっかけは東日本大震災と、それに続いて幡豆町の西尾市編入でした。20114月の編入により地図から名前を失った故郷幡豆町へのマチオモイを込めて、佐々木さんは「はず帖」を出品しました。
 ここで紹介する「はず帖」は、佐々木さんから資料提供を受けて作られたものです。小冊子「はず帖」は、西尾市内の四つの図書館・幡豆支所・幡豆歴史民俗博物館・幡豆地区の小中学校で閲覧できます。